『究極の英語ライティング』もっと伝わる英文を書く6つのコツ

簡潔で明快な、英文を書くにはどうすればいいの?

今回はこんな悩みをお持ちの方に、『究極の英文ライティング』という本を紹介したいと思います。

本書は、翻訳者で翻訳学校の講師の遠田和子先生が書いた、「日本人が英語を英語らしく書くコツ」を示した指南書です。本書では、英文ライティング能力の向上にあたって、明確なゴール設定がなされています。それは次のゴールです。

  • 効率よく情報を伝達するための発想を身につけること

効率よく、というのが本書のポイントで、本書ではもってまわった難しい書き方や、なんとなくカッコいい英語の書き方ではなく、「情報を効率よく伝達するにはどうしたらいいのか?」という点にポイントが置かれています。

例えば「勧誘の電話をかけるのを好まない販売員が多いのは事実です」という文章があったとしますよね。

この文章に対して、本書では、次のような英文を【出発点=ダメな例】として登場させます。

【出発点】It is a fact that many salespeople do not like making cold calling.

この出発点はNG例とまでは言いませんし、お手本のような英文だと思いますが、本書のゴールからするとまだまだ改善の余地があります。

では、どのような英文が本書のゴールなのか?遠田先生の示すゴールはこちらです。

【ゴール】Many salespeople dislike cold-calling.

なるほど、確かに【ゴール】の文章の方が、シンプルで且つ内容も分かりやすいように思います。

では、どのようにすれば、このような的確で簡潔な英文を書けるようになるのか?

本書ではそのコツを6つに分解して説明しています。

伝わる英語の文章を書くための6つのコツ

本書が紹介する「英文ライティングのコツ」を守れば、効率よく伝わる英文が書けるようになります。

そのコツとは次の6つです。

  1. トピックを文頭に持ってくる
  2. 強い動詞を使え
  3. Given→Newの流れで文章を作れ
  4. 少ない単語数で情報を最大化せよ
  5. できるだけ具体的に書く
  6. できるだけ肯定的に書く

後半の3つは割と分かりやすいので、ぜひ本書を購入して読んでみてください。この記事では、前半の3つについて深く説明していきます。

トピックを文頭に持ってくる

伝わる英文をライティングする上で大事なことは、トピック(=話題の中心、要点)を早めに確定させることです。

トピックを早めに確定させるためには、SとV(主語と述語)にトピックを負わせるのがベストだと本書は説いています。

もともと日本語は、SVの確定が遅い言語です。例えば、次の2つの文章を見て下さい。

  • 「タクシー業界では働き手が余っている」
  • 「タクシー業界では働き手が不足している」

これらの文章は、最期の「余っている」もしくは「不足している」という動詞の部分を聞くまで意味が確定しません。

このような日本文の語順を引きずっていると、英文をライティングした時も分かりにくい文章を書いてしまいがちです。

さらにもう1つ例文です。

  • 「最近のタクシー業界では、英語を話せる運転手が求められている」

という日本語を英文にするとします。素直に、日本語の語順でライティングすると、次のような英文になります。

  • In the current taxi industry, drivers who can speak English very well are needed.

この英文では主語のdriversが何なのか最後のare neededまで聞かないと全体の意味が決定できません。

一方でSVにトピックを置いた次の英文はどうでしょう。

  • The current taxi industry needs drivers who can speak English very well.

こちらの文章のほうが、文章全体の意味が早めに確定するので、分かり易い文章になっています。

このように英文を書く時は、なるべくトピックの確定を急ぐように心がけると効率的な文章がかけます。

強い動詞を使う

本書では効率の良い英文ライティングする上で、強い動詞を使えと説いています。

「え強い動詞ってなに?」と思うかもしれませんが、既に冒頭の英文が強い動詞を使っていたんです。

  • do not like→dislike
  • making cold calling→cold-calling

強い動詞というのは2つの条件があると筆者は言います。

  1. 能動態であること
  2. 1語でなるべく多くの意味を持つこと

確かにdo not like よりもdislikeと言ったほうが意味が分かりやすいですし、インパクトがあります。ダイナミックで切れのある動詞をつかうことで、文章が洗練され伝わりやすくなるのです。

Given → Newの流れで文章を作る

Givenというのは、既に知っていることや前の文章で触れたことを指します。

そしてNewというのはその文章で初めて登場する単語などです。

このGiven→Newの順番を意識するだけで、英文がグッとわかりやすくなります。

例えば、こんな文章があったとします。

  • ABC社は新しいマンガ雑誌を創刊する。
  • 創刊号には尾田栄一郎氏デザインの海賊風ハンカチがついてくる。

この文章を英語で伝えるとき、どのようにライティングしますか?

まず最初にGiven→Newを無視した例を上げると、次のような英文になります。

  • ABC company will launch a new comic magazine.
  • A pirate style handkerchief designed by Eiichiro Oda is attached to the first issue.

次にGiven→Newを意識した例を上げると、次のような英文になります。

  • ABC company will launch a new comic magazine.
  • The first issue comes with a pirates style handkerchief designed by Eiichiro Oda.

どうですか?2つ目の例のほうがすっと入ってこないでしょうか?

なぜなら1つ目の例文はNew(a new comic magazine)のあとに更にNew(A pirate style handkerchief)の情報が入ってくるので読み手に負担がかかるのです。

一方、2つ目の例文は1文目で登場した「a new comic magazine」を2文目で「The first issue」と読み替えて主語にしていますよね。

そしてその後に「a pirates style handkerchief 」というNewの情報を出しています。これがGiven→Newで文を作る流れです。

このような流れを1つ1つ意識することで、英文が少しづつ分かりやすい文章に近づいていきます。

『究極の英語ライティング』はこんな人におすすめ

本書が最も役に立つ人は、これまで独学で英文を書いてきたサラリーマンでしょう。イメージ的には、英語初級〜中級あたりの方で、例えば英語のメールはだいたい書けるし読めるという人ですね。

逆に言うと「英語に触れ始めたばかりで文法とかが良く分かっていない」という人にはあまりおすすめできません。より効率よく簡潔な英文を書くにはどうすればいいのか?という疑問意識が浮かんできたビジネスパーソンにこそ読んで欲しい一冊なんです。

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