システム開発現場でもグローバル化が浸透してきています。特に大手IT企業のプロジェクトマネージャーは海外オフショア部門とのコミュニケーションは基本的に英語で行われることがほとんどでしょう。そこで本記事では、システム開発現場で使われる必須英語表現や英単語をご紹介していきます。
システム開発現場では英語が必須になってきている
今日のシステム開発では、海外のオフショア拠点を活用することが多くなっています。かつては、オフショア拠点の人員が日本語を学んでいることが多く、日本のエンジニアは日本語でやり取りをすることができました。
しかし、最近ではフィリピンやインドといった英語が公用語として利用される国出身のエンジニアの参画が増えていることもあり、プロジェクト共通語が英語となることも珍しくなくなってきています。
今日、エンジニアにとってビジネス英語は必須のスキルになっているといえます。本記事では、エンジニアが業務上触れる英語表現を紹介したいと思います。是非日々のタスクに活用してください。
システム企画フェーズで使われる英語表現・用語
事前に知っておきたい用語
システム企画フェーズでは、企業の経営戦略に整合的なシステムの全体像の策定が求められます。
・取締役会:Board of Directors, Board Meeting
・経営戦略に整合的なシステム投資:Investment on information system in line with business strategy
・情報システム部部長: Director of Information System Division
・事業部(情シス部ではないというニュアンス):Division(s) on Business Operation
・情報システム化基本計画:Basic Plan of Business Systemization
・現行/将来像:As-Is/ To-Be (一種の決まり文句)
・たたき台:Draft
・取締役会によるシステム化計画の承認:Board’s Appoval on Business Systemization Plan
表現1: システム戦略資料のレビューをお願いしたい
Would you please give us time to review our draft on systemization strategy before we will have a meeting with CIO?
CIOとのミーティングを行う前に、システム化戦略に関するドラフトを確認する時間を取っていただけませんか。
表現2: システム戦略資料に対するフィードバック
As far as I see this document, I don’t think we make it to understand business side’s perspective so our current draft is still somewhat unrealistic. I suppose it won’t appeal to business side.
このドキュメントを見る限りでは、ビジネス側の視点を理解することができないと思います。そのため、現在のドラフトはまだやや非現実的です。ビジネス側には響かないと思います。
表現3: 資料に対する英語表現のフィードバック
If we translated this part in this way in English, We would fail to convey the meaning of this phrase in business strategy document to foreign subsidiaries members very well.
この部分をこのように英語に翻訳すると、事業戦略書におけるこのフレーズの意味を海外子会社にうまく伝えることができないでしょう。
表現4: フィードバック内容への返答
Based on your feedback in this meeting, we will surely modify the draft of our systemization plan by the next meeting.
今回のミーティングでいただいたご指摘をもとに、次回の会議までにシステム化計画案に反映させておきます。
表現5: クライアントへシステム提案書の是非の伝達
From the viewpoint of cost-efficiency, we believe our proposal of renewing your SCM system is quite appropriate.
私共の提案いたしました御社SCMシステム刷新計画は、費用対効果の観点からも望ましいものと考えます。
要件定義フェーズで使われる英語表現・用語
事前に知っておきたい用語
要件定義フェーズでは、事業部側の要望と、情シス側の予算・要員事情とを両にらみしながら実現可能なシステムの要件定義を行う必要があります。
・アンケート:Questionnaire
・インタビュー:Hearing
・属人化された作業をマニュアル化する:Manualize the personalized task / Avoid relying on a particular person’s work
・手作業をシステム化する:Systemize the manual task
・既存システムをクラウド化する:Replace regacy system with cloud-based service
・ビジネスプロセスアウトソーシング:Business Process Outsourcing
・業務フロー:Operational Flow
・データフロー:Data Flow
表現6: 事業部の業務ヒアリング
In this meeting, we would like to learn in what way you operate task of ●× in finance department.
この場では、経理部の●×業務をどのように行っているか、ヒアリングさせていただきたいと思います。
表現7: 要件定義の整合性を尋ねる
I suggest we should reconsider if this part of our requirement definition is in line with our information system strategy or not once again.
この要件定義が、情報システム戦略と整合的かもう一度議論すべきであると考えます。
表現8: 機能開発における方法の提案
Although information system department insists they can develop this function by themselves, I doubt if it is less costly to outsource the development.
この機能は情シス部は内製化できるといっているが、外注したほうが安く上がるんじゃないか。
表現9: システムの仕様の方向性の相談
As finance department and sales department have not agreed on the requirement for this screen, we need to ask Mr/Ms. ○○ to coordinate and find any conclusion.
この画面の仕様については、経理部と営業部の間で調整がついていないから、情シス部の○○さんに落としどころを見つけて貰わないといけないね。
表現10: システム要求に対するコストの妥当性の伝達
This item of requirement is too costly as it reflects operational side idea, and we information system department cannot accept it at all.
この要求項目は現場の立場を丸のみしていてコストがかさみ過ぎているから、情シス部としてはとても受け入れられない。
開発フェーズで使われる英語表現・用語
事前に知っておきたい用語
開発フェーズでは、上流工程で固まった要件定義書や基本設計書をもとに、進捗管理や課題管理をしつつ、開発者とコミュニケーションをとって機能を実装します。外国人の開発者に対しては相手を尊重する姿勢を保ちながら、良いことは良い、ダメなことはダメという姿勢をはっきり示す必要があります。
・詳細設計書:Detailed Design
・人月(当たり単価):(cost per) man-month
・スケジュール通りである:on schedule
・スケジュールに遅れがある:behind schedule
・予算通りである:on budget
・予算超過がある:over budget
・リスケジュールが必要だ:need reschedule
・課題管理表:task list
・リスク管理表:risk list
・進捗報告:progress report
・事前にコンティンジェンシーを積む:keep some buffer in advance
・意思疎通がうまくいかない:have discommunication
表現11: 開発プロジェクトのルールで伝達
In this project, all the staff are required to report his/her progress in daily meeting on 5 p.m. everyday.
このプロジェクトでは、毎日午後5時に日次のミーティングを行い、各自の進捗状況を全員に報告してもらいます。
表現12: バグ発生時の対応を伝達
When you find any bug in the code, please make sure to open the ticket on our bug list.
システムにバグがあった場合には、確実に障害管理台帳に起票してください。
表現13: 開発時のコミュニケーション方法のフィードバック
You are saying you have a question. So please tell me in short what you don’t know and what your problem is.
何か質問があるということですが、要するに何がわからないのか、何に困っているのかを教えてください。
表現14: 指示書のミス発生時の対応
As our wrong usage of English in the document of our direction caused this error, I apologize to you on behave of all the Japanese members.
私たちの指示をまとめた資料の英語の書き方に問題があったためにミスが起きたことについて、日本人スタッフを代表して謝罪します。
表現15: 開発方針の再共有
Although we can understand your objection to some extent, we will keep our work under the existing poicy as it is based on client’s request.
これはクライアント側の意向ですので、皆さんの指摘にも一理あるとは思いますが、現行方針通りに開発することにします。
システム開発現場の英語をマスターしよう!!
実際のプロジェクトで本当に聞きそうな単語、フレーズを取り上げてみました。
見ていただけると、使っている単語自体はそれほど難しいものではないことがわかると思います。プロジェクトでは、難しい単語や表現を使うよりは、簡単な単語・表現を図表で補って表現すると、コミュニケーションミスを減らすことができます。そのうえで、上流工程に関わる場合には、相手と自分との関係性に応じて、適切な敬語表現を使う必要が出てきます。
お読みいただきありがとうございました。